読了―史学

氏家幹人『江戸藩邸物語』

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氏家幹人『江戸藩邸物語 戦場から街角へ』(中公新書883)、

中央公論社、1991年10月7版(1988年6月初版)

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氏家(うじいえ)氏の初期の著作。

個人的に、同氏の著作は昔から好きなほうなので

勉強させて頂いております。

長らく続いた戦乱の世が終わって大安の世に入ったものの、

前代の習慣・思想がそう簡単に抜け切るはずも無く、

そのような武士たちが如何に生きていたのか、

如何に考え如何に振る舞っていたのか、

といったことを考察されています。

この「戦乱の世」に、国内だけでなく

いわゆる文禄・慶長の役(壬辰・丁酉倭乱)も

含まれるでしょう。

16世紀末まで戦いに明け暮れた日本の武士たち。

そこで築かれた長年の習慣・思想は、

大安の世には時に邪魔者・難儀な存在だったようです。

戦乱から太平への移行期に見られる武士(および他の階層も含む)の

困った顔が目に浮かぶような、興味深い一冊です。

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北島万次『秀吉の朝鮮侵略』

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北島万次『秀吉の朝鮮侵略』(日本史リブレット34)、

山川出版社、2002年7月初版

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著者は、文禄・慶長の役を中心に同時代を

研究されている大家、北島万次氏。

山川出版社さんが出しておられる

二つのリブレットシリーズの一翼を担う一冊です。

概ね100ページ程度の分量、しかも文字が大きく

注もところどころ付けられているので

「ちょっと本を読みたいけど疲れて

ハードカバーに手が出ないとき」にも適した分量です。

しかし、このようなコンパクトな分量であるにも拘らず、

約7年にわたる文禄・慶長の役(壬辰・丁酉倭乱)について

興味深く読み続けられるよう纏められています。

さすがに碩学…。

日韓の資料をどれほど読み込まれているかは

参考文献を見れば(見なくとも内容を読めば)一目瞭然ですが、

しかし本文ではあくまでも読みやすくするため、

これらが表にでしゃばることはありません。

ですので、当戦争を大きな流れで知るためにも

とても役立つ一冊です。

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中里紀元『秀吉の朝鮮侵攻と民衆・文禄の役』

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中里紀元『秀吉の朝鮮侵攻と民衆・文禄の役(壬辰倭乱)

―日本民衆の苦悩と朝鮮民衆の抵抗』(上下)、

文献出版、1993年

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著者は陶芸家、中里紀元氏。

あとがきによりますと

「文禄、慶長の役で…連行されてきた朝鮮陶工又七」

の御子孫とのこと。

このあたりに、本書を執筆された動機の一端を

伺うことができます。

渉猟された資料の豊富さは引用文献を見れば

とてもよく分かります。

下巻には関連年表のほか、

下瀬七兵衛の「朝鮮陣留書」が活字化して

付されています。

愚生が面白く読むことのできたのは第12章と第13章。

副題にある「日本民衆の苦悩と朝鮮民衆の抵抗」を見て

一読しました。

全体として、副題を以て主軸を提示するのであれば

もう少しこの部分に焦点を絞った叙述が必要なのではと。

自分自身、まだまだですので他の方のことを

とやかく言えませんが、

この部分に置かれた力点が些か弱く感じられたのは否めず。

あと、朝鮮側の資料が訳本に多くを依るというのは

専攻柄、どうしても気になるところです。。。

最後に、スミマセン…アフィリエイトに出てきません…。

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氏家幹人『かたき討ち』

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氏家幹人『かたき討ち 復讐の作法』(中公新書1883)、

中央公論新社、2007年2月

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『武士道とエロス』などで著名な、氏家幹人氏の一冊。

かたき討ちと見ることのできる諸種の行為から、

近世日本の社会の姿を描き出そうとされております。

いわゆる敵討ち、つまり身内の誰かが殺されて、

その報復のために相手を殺す、というものから

「うわなり打」先妻が後妻へ行なう報復行為や

「妻敵討」不倫男女のうちの女の夫がこの両者へ報復、

といったものも含め、「報復」という行為の裏側に潜むものを

見ようとされているのか。

最後の章を「敵討の原像」と題してその原理を

「非命の死こそ自然な死であるとする死生観」(p264)と

指摘されていることを鑑みると、

やはり基本は武士の報復行為についての考察に集約されるのか、

などなどつらつらと考えさせてくれる一冊でもあります。

個人的には、こういうアプローチ、好きなほうです。

ゆえに楽しく読ませて頂きました。

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小川環樹等訳『史記列伝』第1巻

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司馬遷(小川環樹・今鷹真・福島吉彦訳)『史記列伝』第1巻

(岩波文庫、青214-1)、岩波書店、

1987年2月18刷(1975年6月1刷)

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何で今更基礎を…と思われてしまいそうです。

それも全5冊あるのになぜ1巻のみ…とも言われるかも。

最近、原典資料に割く時間がかなり増えて、

本を読む時間が減っています。

こんなことではダメです…我ながら(*_*)

まぁ、論文は読んでるといえ、

論文をここに挙げるのもどうかと思いますので、

そうなると一部分とは言え挙げざるを得ず。

というわけで、今回は、横山光輝先生によって漫画化もしている、

趙有名な『史記』の訳本でございます。

その筋でも時に引用されている訳本で、

この第1巻に納められているのは

全て小川環樹先生の訳された部分です。

※「はじめに」で訳者分担が記されている※

何も言うことが無いと言いますか、

変な意味でなくて、流石といいますか、

「これだけ訳されているのに愚生ごときが何をか語らん」

としか言いようがないのです。

普通に読物として面白く読めますし、

訳注も参照して「なお、訳文は同書による」で

使える水準なわけですから。

単に「どれが自分にとって、

研究の面で或いは楽しく読むとして面白い内容か」と

甚だ私的な観点で述べるに留まりますが、

「魏公子列伝」と「春申君列伝」ですかね。

他も面白いですけど、愚生にはこの二つということで。

続きも楽しみです。

Book 史記列伝 1 (1) (岩波文庫 青 214-1)

著者:司馬 遷
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脇田晴子『中世に生きる女たち』

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脇田晴子『中世に生きる女たち』(岩波新書377)、

岩波書店、1995年2月初刷

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日本中世史の本でございます。

序章で、中世への橋渡しとなる時期、平安時代について

概説をされた上、本論で中世の女性に関する叙述が続きます。

大まかに、公家・武家・尼僧・庶民、という区分で

そのまま章立てされています。

結論で著者自ら述べておられるように、

中世女性史の視点として「家」という枠組み・概念・制度の存在を用い、

妻問婚から嫁取婚へと婚姻形態が変わることによって

「家」の存在形態も変わり、女性の位置づけもまた変わっていった。

その流れの中で、公家・武家、尼僧、庶民、

それぞれもまた各自のありようが形成されていった、

と、このようなところでしょうか。

愚生には終章(=結論に代わる)部分が、

思想史にも関連する内容であったため、参考にできたかと。

あと、中世といえば朝鮮では概ね高麗時代・朝鮮前期ですから、

対比するという意味では総じて学ぶ所が多かったですね。

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柳成龍『懲毖録』

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柳成龍(朴鐘鳴訳注)『懲毖録』(平凡社東洋文庫357)、

平凡社、1979年初刊

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豊臣秀吉による朝鮮出兵(=壬辰・丁酉倭乱)について、

当時の情勢に対する反省の意味を込めて書かれた

古典の訳注本。

著者は16世紀後半に政治の中枢にあった

朝鮮儒者、柳成龍。號は西厓。

訳注者によると、

本書は2巻本や4巻本の全訳に当たるとのことで、

同戦争についての叙述が冷静な目で行われているとの評。

記事の中には時に人物描写が章に含まれたり、

それのみに費やされた章が存在します。

李舜臣あたりは代表格ですね。

注釈も、愚生からすると、綿密に施されているので

参考文献としても役立ちそうです。

韓国語式の発音に慣れた愚生としては、

人名や地名の発音表記(ルビ)で

語頭にラ行が書かれているのは

少々気になるところでしたが。

17世紀の諺解ではナ行(=ニウン)で書かれていることを

含めて考えると、

ラ行(=リウル)にしてしまうというのは…。

こういう枝葉末節はさておき、

解説や参考文献リスト、年表など、

勉強になるところは

しっかり学ばせて頂ける一冊です。

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貫井正之『秀吉と戦った朝鮮武将』

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貫井正之『秀吉と戦った朝鮮武将』(ロッコウブックス)、

六興出版、1992年初版

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今は無き六興出版から出された一冊。

少し幅広ではありますが、薄い本ですので

電車の中で読むには良いサイズ。

韓国・朝鮮関係(前近代)に関する書籍を

よく出して下さった、ありがたい出版社さんでありました。

今回は、古本にて入手。

タイトルにあるとおり、文禄・慶長の役=壬辰・丁酉倭乱を

題材としております。

朝鮮側の観点から、

郭再祐などの義兵将や朝廷の官僚などの動向、

また朝鮮国の情勢や明の対応、祖承訓など派兵将の挙動、

もちろん日本軍の状況も含めて記述されています。

このボリュームでうまく整理されていますし。

巻末に付された資料(年表など)もありがたいです。

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小曽戸洋『漢方の歴史』

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小曽戸洋『漢方の歴史 中国・日本の伝統医学

(あじあブックス011)、大修館書店、1999年6月初版

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以前から読もうと思っていたまま、

なかなか読めなかった本です(このフレーズが多いような…)。

些かとは言え武術を嗜んでおりますと、

技術という観点から、身体の構造がそれなりに気になります。

同書はどちらかというと、いわゆる漢方薬の分野、

したがって薬学的な側面を中心に、

鍼灸には或る程度触れておられます。

また、日本・中国の漢方を主に述べておられますが、

日本との関連から、朝鮮医学に関しても

若干の言及をして下さっています。

中国医学の形成期から近代(明治)に至るまでの歴史を

とても理解し易くまとめられているので、

短時間で概略を俯瞰するのに適しています。

より深く掘り下げる場合は、

小曽戸博士の他著も見られると良いかと思います。

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平野聡『清帝国とチベット問題』

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平野聡『清帝国とチベット問題―多民族統合の成立と瓦解

名古屋大学出版会、2004年11月初版2刷(7月同版1刷)

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ベッドのお供に読んでいた本がようやく終わりました。

時事ネタとして読んでいたわけではなく、

購入してしばらく積読していたのを

ここにきてついに手を伸ばしたというのが実情。

本書は同氏の博士学位論文を土台として刊行されたもので、

愚生が読むに至ったのも、一理由としては

刊行される水準にある博士論文というものについて

勉強をさせて頂くためでした。

もう一つは、自身が韓国を専攻としていることもあり、

その隣国では何がどのように起こっていたのか、

朝鮮王朝も含まれる、清朝の対外への眼差しを

勉強したかったためでもあります。

これは朝鮮朝にとって外的環境の一条件たりえるものです。

で、理解力のまだまだ乏しい愚生が

かろうじて勉強できたことというと、

(1)「チベット問題」なる現象の発生にかかる一連の背景

(2)清朝の、統治に係る世界観・思想史的構造

(3)現今中国の「中華民族」「中華世界」観について

他の方はきっとこれ以上のことを学ばれるのだと思います。

(1)(2)の両件は、

燕行使として彼の地へ赴いた朝鮮使節の見聞・実感した

光景を成すものであり、

17世紀以降、朱子学への傾注が

激化・深化・閉塞化していくとされる

朝鮮朝の思想史を見る上でも興味深い対照事例と

思いながら読んでいました。

(氏は同著序章で朝鮮儒者の苦渋についても若干触れています)

学位論文をまとめる上でも、とても勉強させて頂けた一冊です。

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『史記 八(列伝一)』(新釈漢文大系88)

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水沢利忠『史記 八(列伝一)』(新釈漢文大系88)、

1994年第3版(1990年初版)、明治書院

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入門者を含め漢文を読まれる方にとっては

外すことのできないシリーズ、

明治書院さんの刊行されておられる新釈漢文大系の

一冊です。

しかも超有名な『史記』です。更に「列伝」。

紀伝体を初めて採用した中国の古典です。

正直、カテゴライズは迷いましたし、

結局決めきれずに複数羅列。

通史の体裁を採って著者司馬遷から見た

過去のことを記録しているのですから

史書であることは事実ですが、

一面、「天道是か非か」を問いつつ事件を叙述している以上、

そこに彼の思想が入り込んでいないわけも無し。

文学としても、伝における彼の叙述は

ここでご紹介するまでも無く大いに論じられているところ。

もっとも、当時の学問が現今のように細分化されておらず

文・史・哲混交した状態であったことを踏まえると

こんなカテゴライズ自体意味が無くなるのかも知れませんが。

「文」なわけですねぇ。

さて、タイトルでは敢えて水沢博士の御芳名を控えさせて頂きました。

『史記』の「著者」は、司馬遷か少なくとも昔の方でしょうし、

というより、新釈漢文大系では

「通釈・語釈・余説」を書かれた方を各巻の「著者」としているものの、

個人的には「訳注」ではないのかな…という思いが

払拭できていないからです。

ともあれ、活字化した原文には訓点が施され、

その下には読み方が書かれており、

更に通釈・語釈・余説でフォローされているわけですから

初心者から勉強に資すること請け合いなのは事実ですが。

これができるというのはすごいことだと思います…敬服のみです。

何だか、シリーズの読了になってしまいました。まだまだなのに。

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竹内康浩『「正史」はいかに書かれてきたか』

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竹内康浩『「正史」はいかに書かれてきたか 中国の歴史書を読み解く

(あじあブックス042)、大修館書店、2002年

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引き続き、あじあブックスより一冊。

このシリーズ、面白くて好きです。

分量も手軽なものなので3時間もあれば読めるし。

といって内容は勉強になりますし。

このバランスが良いのですよね。

さて、シリーズについて述べるのはこのくらいにして。

文学に入れるか史学に入れるか迷いましたので、

両方に入れておきます(笑)

個人的には、文学かと思っていますが、

歴史叙述の問題ですので史学史の問題であるとも

確かに言えます。

愚生の見方は

「「歴史を書く」という動作を通して何が表現されてきたか」

となります。

両者に共通するのは「歴史の書法」。

この手軽な分量で斯様なテーマを分かりやすく書くのは

大変な労力ではなかったかと。

つまり、それだけ分かりやすく書けているということ。

いわゆる「歴史問題」の理解を助けてくれる一冊でもあります。

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北島万次『加藤清正』

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北島万次『加藤清正 朝鮮侵略の実像』(歴史文化ライブラリー230) 、
吉川弘文館、2007年
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いわゆる「朝鮮の役」を題材にした一冊。
日本では文禄・慶長の役、韓国では壬辰・丁酉倭乱と呼ばれている、
事実上2度目の東アジア戦争を指します。

なお、この戦いを題材とするサブカルとしては
『壬辰録2+』という、韓国のウォーシミュレーションゲームを
挙げることができます。
きっと他にもあるのでしょうけど、未確認です。
日本でも『壬辰録2』がかつて翻訳・販売されていました。

著者は北島万次氏。
日本史の方で、「朝鮮の役」を長年研究してきた碩学。

また、出版社も日本史では御馴染みの吉川弘文館で、
同社から出された一般向けの「歴史文化ライブラリー」シリーズなので
手頃な分量で読みやすい一冊でもあります。

同書においては
「日本も朝鮮も、互いに一枚岩では無かった」ことが
具体的に、また分かりやすく描かれています。

例えば、日本軍は戦功を争いもすれば
この戦争自体の非を考えて出兵を意図的に遅らせる軍が出てきます。
一方、朝鮮国では咸鏡道の人々が
日頃の恨みを晴らさんとばかりに裏切ります。
避難してきた王子を捕まえて日本軍に渡すくらいです。

また、この「一枚岩ではない」状況が、
日本の政権交代につながる背景となったようです。

なお、大きくは取り上げられませんが、
朝鮮側に見られる儒者たちの活動も興味深いところ。

全体として、秀吉の部下である加藤清正に焦点を当てており、
同戦争を概観するにはスッキリとまとまっている好著です。

こういう本を書けるようになりたいですね。うーむ。

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ボルスト『中世ヨーロッパ生活誌』

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オットー・ボルスト『中世ヨーロッパ生活誌』全2巻、

白水社、1985年

原著:Otto Borst "Alltagsleben im Mittelalter"

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原著は読んでいません、念のため。

倭儒はドイツ語を読むことができませんので、あしからず。

実はこの本、第1巻は今年の初めに読み終わっていました。

が、その後、学会発表や論文投稿の準備に追われ、

第2巻に手をつける(主に心の)余裕が全くありませんでした。

そんなわけで長らく保留状態にあった本です。

ようやく読み終わって気分爽快(笑)

感想としては…原著と比較していないのですが、

どうも、事実の羅列に近い書き方になっているという印象。

内容自体は興味深い事が散りばめられていて、

決して悪い内容ではないのに。

「原書には各章ごとに文献がついているが、

あまりに専門的にすぎるので」割愛したとのこと。

注はこの中に含まれないのでしょうか。

原著が専門書であるのを読みやすくするための

訳者の先生方の苦労がしのばれる一方、

内容が事実の羅列になっている感を覚えてしまう点に疑問も。

自身の読みの浅さが原因なのかも知れません。

書いている事は興味深い物が多いので、

うまく拾い読みできると楽しく読めると思います。

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柳成龍『懲毖録』

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柳成龍(朴鐘明訳)『懲毖録』(平凡社東洋文庫357)、平凡社、1979年

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言わずと知れた、いや、知る人ぞ知る?

『懲毖録』(チョウヒロク)。

文禄・慶長の役(壬辰・丁酉倭乱)について、

当時の朝鮮儒者、西厓・柳成龍の記したもの。

近世日本の知識人にも読まれた著述です。

平凡社は昔から良いものを出してますね。

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高橋繁行『葬祭の日本史』

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高橋繁行『葬祭の日本史』(講談社現代新書1724)、講談社、2004年

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お盆が近づいてきたから、というわけではないのですが、

読んでみました。

「日本史」とタイトルにあるように

史的な内容もあるにはあるのですが、概ね半分程度。

新書の半分なので概説にとどまりますが、

内容としては割と面白いです。

残り半分は現代の葬儀事業や最先端の葬儀関連サービスなど。

こちらも興味深い内容でした。

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江上照彦『悪名の論理』

江上照彦『悪名の論理 田沼意次の生涯』(中公新書187)、中央公論社

現在進行中の仕事の関係上、

このあたりの本や論文を読み漁っています。

うちの大学の図書館には無かったので

公立図書館から借りました。

どうやら西洋文学研究者の方が書いた本のようです。

しかし、それだからこそ分野の常識に捉われず

書くことが出来たのかも。

一橋治済の話は初見だったし。

典拠となる原典資料をもう少し明示してくれれば

なお良かったかと思います。

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大石慎三郎『田沼意次の時代』

大石慎三郎『田沼意次の時代』、岩波書店、1991年

岩波現代文庫版で復活しているようですね。

資料批判の段階から分かり易くまとまっています。

文庫版、欲しいですね。

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崔官『文禄・慶長の役』

崔官『文禄・慶長の役[壬辰・丁酉倭乱] 文学に刻まれた戦争』(講談社選書メチエ22)、

講談社、1994年7月

最終的には文学的視座に落ち着くものの歴史記述が相当多いので、

倭儒は歴史研究の書物として堪能致しました。

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藤田覚『松平定信』

藤田覚『松平定信(副題:政治改革に挑んだ老中)』(中公新書1142)、中央公論社、1993年

※出版社名は奥付どおりに表記しています。

中央公論社さんは1999年以降、中央公論新社さんに社名変更されております。

詳細は同社サイトを御参照のこと。

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早瀬晋三『歴史研究と地域研究』

早瀬晋三『歴史研究と地域研究―フィリピン史で論文を書くとき』、法政大学出版局、2004年

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