読了―儒教(韓国)

裴宗鎬『朝鮮儒学史』

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裴宗鎬(川原秀城監訳)『朝鮮儒学史』、

知泉書院、2007年

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昨年購入していたものの、

なかなか手が回らず、

ようやく読み終えました。

韓国では古典的名著とされる

同氏『韓国儒学史』(延世大学出版部、1974年)の邦訳です。

川原秀城教授(東京大学)監訳の下、

門弟の方々(主として博士課程生)によって

翻訳がなされています。

朱子学における理と気のターム及び概念を軸に独自の発展をした

朝鮮思想における人間存在への考察の史的展開を概説した、

まとまりのある高著です。

取り上げられる儒者が李退渓以降旧韓末の儒者までですので、

時代は16世紀以降に絞られます。

つまり、朝鮮王朝中期から末期(旧韓末含む)まで、ですね。

翻訳も、さすがに経学に造詣の深い同氏の監訳の賜物で、

読みやすい文章です。

もっとも、概説とは言え専門書ですので

新書などの読みやすさとは必ずしも一致しないですけど。

日本で朝鮮儒教を専攻しようとする方は甚だ少ないと思いますが、

日本思想や中国思想を御専攻の方が

比較対象として朝鮮思想の流れに目配りをされる際にも

有用かと思います。

基本的には理気論及びそれを観点とした人間存在に

関する内容ですので、

礼学・礼制・礼俗や、倫理学的或いは社会史的な要素には

言及されておりません。念のため。

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金泰俊『虚学から実学へ』

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金泰俊『虚学から実学へ 十八世紀朝鮮知識人洪大容の北京旅行』、

東京大学出版会、1988年

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本を見ると新しく見えるのですが、

既に20年前の著作なのですね。

今更ながら驚きました。

それはさておき。

サブタイトルにもあるように、

18世紀の朝鮮知識人(士大夫)、洪大容が

燕京使に随行して燕京(今の北京)へ行った際の

清朝治世下の中国知識人たちとの交流や

そこで得た人間関係、彼の知見や考えなどに対し、

彼の旅行記を元にトレースを図った力作。

18世紀といえば朝鮮でも李朝後期、

日本でも近世後期に入っていますから、

良くも悪くも豊かになる時期でもあります。

朝鮮では相変わらず四色党争が止まずでしたが…。

その中で洪大容は自国内の如上の「停滞」に飽き足らず

西洋の天文学、清朝知識人の知見にも関心が及び、

彼の中で朝鮮実学の芽が生えるわけです。

洪大容を通して当時の朝鮮における学問の在り方が

問われ、見つめ直されています。

個人的には、少し違うところにも興味を持てましたが、

それは余談ということで。

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幣原坦『韓国政争志』

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幣原坦『韓国政争志』、三省堂書店、1907年

(『韓国政争志・韓国警察統計』(韓国併合史研究資料21)、

龍渓書舎、1996年復刻に所収)

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ちょうど100年前に発行されたものの復刊。

倭儒が手にしたのは()内の復刻版です。

政争史といっても現代韓国のそれではなく、

朝鮮王朝(李朝)期に発生した儒者官僚の党争を指します。

同書で扱うのは東西分党と老少分党。

ものすごくざっくり言うと、

東西分党は17世紀前半に発生した、李退渓派と李栗谷派への分裂。

老少分党は17世紀後半に起こった、宋時烈派と尹拯派への分裂。

実際には、著者も述べている如く、こう単純ではないので

人間関係が脳内で錯綜しないようにするのが大変…。

でも、朝鮮儒教を読み解くに当たって避けられない要素なので

頑張るしかないですねぇ(苦笑)

古いものではありますが、党争理解の手助けにはなると思います。

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